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【セミナーレポート】現場の実例から、製造業のAI人材育成を90分で学ぶ 製造業でのAIスキル育成セミナー

  • 3 時間前
  • 読了時間: 11分

2026年3月17日、「現場の実例から、製造業のAI人材育成を90分で学ぶ 製造業でのAIスキル育成セミナー」が開催されました。


生成AIの台頭によりAI活用は一部の先進企業だけでなく、多くの企業の現場力や競争力を左右する重要なテーマとなっています。製造業においてもAI人材の確保が急がれるなか、AI技術の理解だけでなく現場で実践できる教育が不可欠となりました。

本セミナーは、


  • AI人材育成を支援するNABLAS株式会社

  • 実際にAI講座を受講した若手社員(株式会社ソミックトランスフォーメーション)


2つの視点から製造業におけるAI人材育成を進めるヒントを共有し、各企業が具体的にAI人材育成に動き出せるきっかけを作ることを目的として開催されました。


【開催概要】

主催 株式会社浜名湖国際頭脳センター

共催 NABLAS株式会社

協力 株式会社ソミックマネージメントホールディングス


内容

(1) 若手社員が語るAI講座の受講と業務への活用 (株)ソミックトランスフォーメーション

(2) 支援先からみた製造業でのAI教育のポイント NABLAS(株)

(3) クロストーク:製造業でAI教育を成功させるには (株)ソミックトランスフォーメーション×NABLAS(株)

(4)浜松地域でのAI教育の取組みと講座の紹介 (株)浜名湖国際頭脳センター



(1). 若手社員が語るAI講座の受講と業務への活用

スピーカー:安田 匠(株式会社ソミックトランスフォーメーション AI事業開発室)



DS4Me_iLectAcademy受講

ソミックトランスフォーメーションに入社後、データサイエンティスト育成講座を受講し、Pythonの基礎から始まりまして、簡単な四則演算・NumPy・Pandasなどの関数を使ったプログラムの勉強を行ってきました。機械学習の方ですが、これがAIに関わるところで、私自身、機械学習は初めてだったので、様々な学習モデルがあるということや、その学習モデルごとの使う用途での利点・欠点がはっきりと分かるようになりました。動画形式のため、入社すぐの他に学ぶことが多くあるなかでも、自分のペースで学習できました。


どう業務に活かせたか

実業務での取り組み 

配属された部署では外観検査機の開発を行っています。現在の部署では直接AIの開発を行うわけではありませんが、学んだPythonを使用して外観検査機のロボットアームのログデータを可視化し、ロボットの動作サイクルタイム短縮につなげました。学んだNumPyやPandas、Matplotlibをうまく活用できたと思っています。

外観検査でのAI導入に向けて 

また、こちらはちょっと簡単にやったものなのですが、PythonのOpenCVを使って画像処理をしてみました。まず練習で白と黒の2値化から始め、画像の中の製品だけをうまく切り取って、AIで簡単に処理できるようにしたいなと考えて作りました。これは自分の知識だけでは全然作れないなというところだったので、生成AIやサイトなどを調べながらうまく切り抜くことができました。


仕事でどうAIを使っているか

最後になりますが、仕事でAIをどう使っているかというところで、主にコーディングで生成AIを活用しています。ただ単に「これを作ってほしい」と指示するだけじゃなくて、自分なりに考えてAIにプロンプトを入力しています。また、AIに必ず具体的な実装内容を含めて複数案を出してもらうということも行っており、最終的な評価基準として、実装のしやすさ、分かりやすさ、PCへの負荷がかかりにくいものなのかをベースに1つに絞ってコーディング実装を行っています。

AIは作業の手を抜くためだけではなく、仕事のやり方そのものを変える力もあると思うので、自分の能力を拡張する1つのツールとして活用していきたいと思っています。


(2). 支援先からみた製造業でのAI教育のポイント

スピーカー:佐野まふゆ(NABLAS株式会社 執行役員/iLect事業部長)



ソミックトランスフォーメーション様への伴走支援とその歩み

ソミック様へは弊社の知見や技術をベースにした教材を提供するだけでなく、全社的なAI人材育成の進め方についてミーティングで議論し、現場の温度感をヒアリングしながら、年単位の計画を立てて適切な講座を提案しました。また、支援当初は現場のAIに対する抵抗感が強かったため、いきなりトップダウンで進めるのではなく、少しずつ影響を広げていく段階的な導入アプローチをとっています。

ご提供した講座は、プログラミング未経験者でもデータ活用ができるようになる初学者向けの講座をはじめ、より高度な「E資格対応講座」やマネジメント層向けの講座など経験や立場に合わせたご提案をしています。

支援側から見た取り組みのポイント(ソミック様の成功の要因)としては、経営層が自らAIの知見を常に更新し続ける姿勢を持ち、AIで「何ができて何ができないか」「どの程度のインパクトがあるか」を正しく把握した上で、現場にツールを使わせてキャッチアップを促している点が大きかったと思います。現場の抵抗感を考慮し、数ヶ月といった短期間で成果を求めるのではなく、年単位でAIが身近にある環境を作り、徐々に定着させていくという長期的な視点を持っている点が非常に印象的でした。


製造業で求められるAI人材育成の平行ステップ

組織へのAI導入を成功させるためには、以下の3つを並行して進めていただく必要があります。

まず1つ目として、「触る・見る・自分事化する」ことから始めていただくのが良いと思います。生成AIなど、比較的導入しやすい環境を整備し、まずは触れてみるというマインドセットを作ることが大事です。

2つ目として、「エヴァンジェリスト(推進者)の育成」です。自分の業務がどう変わるのかを結びつけるために、研修などを通じてAIを活用する体験をしていただきます。ここでエヴァンジェリストを育成することが重要です。安田さんのように自発的にAIを使いこなし、周囲にその活用法を見せることで、他の社員の抵抗感を薄れさせ、「自分もやってみようかな」というきっかけを作ります。エヴァンジェリストが実装したものを社内で共有し、組織全体へ波及させる活動を行っていただきます。そのためには、マネジメント層が彼らの活動を支援し、温かく見守る風土が必要です。

3つ目としては、「教育と両輪で進める泥臭いデータ整備」です。 AIが学習できる「データ基盤の整備」も欠かせません。製造業では独自のデータや手書きの日報などがあると思いますが、それらを整理し、AIが活用できる状態にすることが、人材育成と並行して進めるべき重要なポイントになります。

私どもとしては、経営層やマネージャー向けには「AIリテラシー講座」で事業へのインパクト、AIの裏側を理解して正しく推進する方法を学んでいただき、現場の若手やコア人材には「実践型のAI講座」で実装スキルを身につけていただくという、両輪での育成をサポートしております。


(3).クロストーク:製造業でAI教育を成功させるには

クロストークでは、参加者からの質問も交えながらどう製造業で具体的にどうAIツールを活用しているか、AI人材教育を成功させるか意見を重ねました。(以下クロストークから抜粋)


(米良さん) AI人材を採用するのではなく、既存の社員にAIを活用してもらうための教育と【セミナーレポート】現場の実例から、製造業のAI人材育成を90分で学ぶ 製造業でのAIスキル育成セミナーして、どのような進め方がおすすめでしょうか?

(佐野さん) DXやAI推進において、外部からAI人材を採用するよりも、自社の社員の皆様を育成する方が良いとお伝えしています。理由としては、社内の文化やデータの構造をすでにご存知の皆様がAI技術を身につけた方が、「このベースを使ってどう解決しようか」と具体的に考えられるからです。 プログラミング経験がない方やAIをあまり使ったことがない方でも、そこからスタートすることは十分に可能です。これから教育を構築される場合は、まず「生成AIのリテラシー」や「AIの仕組み」を理解していただきます。その上で、AIを活用する際の注意点やプロジェクト導入のポイントを学ぶ講座を受けていただき、ステップバイステップで進めます。大体半年から1年ほど伴走しながら研修をご提供している事例が多いです。自社の課題を解決したいというモチベーションが高い方々に参加していただき、最終的に自力で解決できるようになるためのプログラムを提供しています。

(米良さん) そうすると、エンジニア部門だけでなく、例えば総務部や営業部門など、幅広い部署の方がAIを学ぶ対象になってくるということですね。

(佐野さん) はい、その通りです。マーケティング部門であったり、現場の課題解決において「手持ちのデータをどう活用するか」「今ある業務にかかる時間を半分くらいにしたい」といった悩みをヒアリングし、そこから適切な課題解決の手段を検討していく形になります。


(米良さん)様々な企業をご支援されている中で、AI教育を行ってもなかなか浸透しない企業と、どんどん社員の方に浸透していく企業があると思いますが、その違いは何でしょうか?

(佐野さん)やはり、「文化」の違いが大きいと思います。「どんどん使っていこう」という文化があれば、「こういう風に使ってみよう」というチャレンジする気持ちが生まれますし、挑戦を否定されないことでネガティブな感情が薄れます。まずはAI活用を後押しするような前向きな文化や雰囲気が不可欠です。

(米良さん)あくまで生成AIはツールであると考えると、やはり企業が持っている雰囲気や文化が、AI活用を進めていく上で重要になるということですね。次に、5年後を想像した時に「AIを使える人」と「使えない人」でどのような差が出てくると思われますか?

(安田さん)最近では動画生成AIなども出てきていますし、もはやAI活用マインドは「義務教育レベル」の必須スキルになってくると思います。個人的には、AIを使えるかどうかが個人のキャリアや出世などにも大きく関わってくるのではないかと思っています。

(佐野さん)「AIを使うことを前提に業務を構築する」ことが求められてくると思います。「今ある業務にAIをどう使うか」を考え、業務フロー自体を変革していく力が企業の中で求められるようになります。他社がAI活用を進めている中で、自社が取り組まなければ生産性の面で大きく後れを取ってしまうため、もはや進めざるを得ない状況になっていると思います。


(参加者からの質問)AIの理解が必要だということは分かるのですが、「AIでどこまでできるのか」が漠然としていて分かりません。理解を深めるための具体的な事例や方法はありますでしょうか?

(佐野さん)AIに限らずですが、まず業務課題を解決するというゴールに対して、どういう選択肢を取るかというアプローチが重要になります。実は、AIではなく従来の手法やルールベースのシステムで解決した方が、確実に良い結果が出る場合も多くあります。全てをAIで解決するのが正解ではないという点が、少し難しいポイントですね。 あとは実際に使いながら調整を重ねることで、「これはAIでは解決できない」という限界もだんだん分かってきます。使い始めの段階では分からないことも多いので、そこは研修などで少しアシストさせていただき、リテラシーを養っていただくことが大切だと考えています。


(参加者からの質問)私はエンジニアを目指して勉強しているのですが、最近「生成AIがコーディングできるようになれば、エンジニアはいなくなるのではないか」という声をよくネットなどで聞きます。その辺りはどうお考えでしょうか?

(安田さん)AIが生成したプログラムの正確性を確かめるためには、やはりプログラムの専門知識を持った人がしっかりとレビューし、正しいものか確認しなければなりません。そのため、エンジニアの仕事が減ることはないのではないかと思います。むしろAIをツールとして使う上で、実務を担うエンジニアの必要性は増してくるのではないでしょうか。


(4). 浜松地域でのAI教育の取組みと講座の紹介

スピーカー:米良直樹(株式会社浜名湖国際頭脳センター IT事業部次長)



地域の現状と課題

浜松地域の企業の特徴として、まず製造業の集積地であるというところがあります。自動車、オートバイ、楽器などを中心に技術力が高い製造業が非常に集まっている地域となっています。また、非常に大きいポイントとして現場が率先して改善を進めているという「現場力」があるというのがこの地域の特徴と言えるでしょう。

若干ネガティブなところとしては、人材不足・ベテランへの依存・仕事の属人化という難しい課題を抱えている現状があります。

全国や世界を見ていくと、データ活用や業務の自動化、生成AIの活用が広がり始めています。AIというのが一部の専門家の技術ではなくて、もう会社全体で使うツールになっています。なので、この地域の製造業もAI活用を人任せにするのではなく、組織的・体系的に進めていかないといけない状況にあると思います。


AI活用のステップ

AI人材の育成ステップについて、リテラシーから業務での活用、そして実践できる人材へつなげていくステップが重要です。AI人材の育成というのは専門家を育てるのではなく、会社全体の力を底上げしていくステップになっています。どうしてもいきなり「実践」に入っていこうとしがちですが、社員のAIへの理解を客観的に見たときに、まずはリテラシー教育からやっていかなければいけないという場合もあるので、自社がどういう状況か整理しておくことが必要です。

弊社でもAIの基礎講座や生成AI活用研修、データ活用講座といった教育が広がり始めています。 エンジニアや技術部門だけではなく、事務や管理部門など幅広い社員が対象の多くの講座を企画・開催ています。

AIは目的ではなく、企業が生き残るための手段になっています。そしてAIを導入していくにあたっては、AIの導入以上に「AIを使える人材をどう育てるのか」ということが重要になってくると思います。


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